相場変動の経済的要因としてまずあげられるのが、「ファンダメンタルズ」と一般にいわれているものです。それは、一国の経済や通貨の健全性を示す基礎的な指標とされています。具体的には、財政収支、経常収支、インフレ率、生産性上昇率、経済成長率、失業率などが代表的なものとしてあげられます。経常収支は、一国の財及びサービスの国際競争力や景気動向を反映するものであり、インフレ率と生産性上昇率はいずれもその国際競争力に大きな影響を与える指標として、また経済成長率や失業率、財政収支などは、一国の経済の健康度のバロメーターとして重要です。これら「ファンダメンタルズ」が為替相場の動きを説明するという考え方をファンダメンタルズ理論といいます。より健全な経済状況にある国の通貨がそうでない国の通貨より価値が高くなるというファンダメンタルズ理論の考え方は、長期的にみれば当然のことです。ただし、このことは五年、十年という長い期間でみれば機能しますが、一年、二年といった比較的短期の相場展開を読むにあたっては、ファンダメンタルズに過度の信頼をおくことは危険です。各国経済のさまざまな事象がいろいろなサイクルを描きながら上下動を繰り返す中で、そのサイクルのずれによる為替相場への影響、さらには重大事件の勃発など、短期的にはファンダメンタルズ通りの相場展開にならない要素が為替相場には数多く存在するからです。ファンダメンタルズ分析との関連で長期的な為替相場の水準を考える上で興味深いのは、購買力平価説です。