翻訳学校の企業努力の成果

2011.08.05

一九九〇年代には長引く不況で雇用不安が高まったことを背景に、翻訳学校の受講生が飛躍的に増加したという。この時期に翻訳学習者の数は少なくとも数万人、多ければ十万人ほどになった。なにしろ、通信教育の受講者だけで、何万人かになるのだ。前述のように、翻訳学校の数は百前後にまで増加した。翻訳教育産業は、翻訳産業よりも動きが活発で、企業の収益性も高いといえるほどになっている。翻訳教育産業がどれほど大きいかは、たとえば最大手の翻訳学校の年間売上が二十億円を越えていることをみればあきらかだ。出版翻訳の市場規模は、翻訳者の収人でみた場合、二十億円にも達していない可能性が高い。翻訳教育産業の大手一社だけで、これより多いのだ。ここまで受講生が増えたのは、経済と社会の動きが追い風になったとはいえ、なによりもまず翻訳学校の企業努力の成果である。翻訳教育産業はすばらしい成果をあげてきたのだ。だが、翻訳教育産業の成果は、受講生の数や売上高だけで判断するわけにはいかない。教育の成果はあがっているのか。この点の方が重要だともいえる。